恋愛系少女漫画嫌いの三十路すぎがドハマり! 咲坂伊緒『アオハライド』
とつぜんですが。
恋愛系少女漫画って何が面白いのか全然わかりませんでした。
漫画が好きで好きでたまらない人間にも、苦手な作風やジャンルってありますよね。
わたしは恋愛系少女漫画が大の苦手です。
主にマーガレットや少女フレンドなどに連載しているような、
「隣のクラスのAくんが好き……でもAくんはモテモテだし……えっ?Aくんも私のこと好きってホントに?晴れて両思い!」
みたいな内容が5巻も10巻も20巻も続くやつですね。
恋愛以外の要素がほとんど入っていない少女漫画を特に「恋愛系少女漫画」と定義させていただきたい。
もちろん「恋愛系少女漫画」にも、恋愛要素以外に家族・非行・いじめ・進学などの問題を絡めたりする作品ももちろんありますが、どうにも恋愛要素を盛り上げるための障害づくりで盛り込んでるように見えるものが大半なんですよね。偏見か?
現実の中学生・高校生はもっといろいろ考えてると思うんですよ。
なのに漫画の中では、明けても暮れても「Aくんが好き!」「でもBに告られちゃった」「CちゃんもAくんを好きだったなんて」みたいなことばかりぐだぐだぐだぐだ………。
そういう漫画、むり!とにかくむり!生理的に受け付けない。ごめん!
漫画好きなので出来る限り広いジャンルの漫画を読みたいと思っていても、恋愛系少女漫画への苦手意識がどうしても払拭できず、名作と名高い『君に届け』すら未読でございます。
しかし、そんなわたくしが、いまドハマりしている恋愛系少女漫画があるのです。
咲坂伊緒『アオハライド』
ちょうど今アニメ化もしていて、次は実写映画化もするとのこと。
わたしごときがプッシュしなくても、もうみんな読んでるレベルの作品なんでしょうけども、『アオハライド』読み終わってから居てもたってもいられなくて、同じく恋愛系少女漫画をあまり読まないような友人たちにも薦めまくってそれでも収まらないこの気持ちをぶつける場所はここしかなかったのでご拝聴くださいませよ。
三十路すぎの女をきゅんきゅんさせた『アオハライド』の魅力とは?
他の恋愛系少女漫画と違って、何がそんなにわたしの胸に響いたのかというと、
- 線がすっきりしてて絵がきれい。
- 主人公がかわいい。
- 相手の男の子がかっこいい。
- 心理描写が上手い。
- そうそう都合よく進まない。
- 登場人物が恋愛のことばっかり考えてない。
- 恋をする理由が丁寧に描かれているので納得・共感。
といったあたりでしょう。
これまで恋愛系少女漫画を避けて通っていたので、こんなポイントはほかの作品に当てはまるだろ!っていうご指摘があるやもしれませんが、わたしがハマった理由は主にこんなところなのです。
特に最後の「納得・共感」というのがポイント。
わたしがこれまで「うへぇ…」ってなりながらも、がんばって読んできた恋愛系少女漫画って、「学校一モテる隣のクラスのAくんに恋してるの…」とか「このヒト、か…っこいい…!!(一目惚れ)」とか「大好きなバンドのボーカルといきなりキスしちゃった…」とか「幼なじみのBが最近大人っぽくなって眩しい…」とか、主人公が恋する過程の描写が極端に少ないか唐突で、読者の気持ち置いてけぼりなものが多すぎるように思います。
そもそも少女漫画において「かっこいい」「美人」って、絵見てもわかんないことが多くないですか。
だって絵が綺麗な作家さんなら、だいたいみんなかっこいいし美人。
美醜の差を恋に落ちる理由にするなら、描き分け必須でしょ?
それを、普通の容姿の子にとりあえず眼鏡かけさせとけば的な手抜きなど、読者なめてんのかと。
小越なつえ『泣き虫学らん娘』の蝶名林くんと純吉くらいの容姿の差を描いてもらわないと納得いきませんよ!
相手の男の子も、明確な理由もなしにすぐ主人公に惚れるのもぜんっぜん納得できない。
主人公が美人設定や人気者設定なともかく、たいていの主人公は普通の容姿・性格(時には普通以下)で、積極的働きかけもしないのに、なぜかモテまくる。
漫画は夢を与えてなんぼだけど、ファンタジーでもないのに現実では起こりにくいことを描いて、さあ共感してくださいっていうのは無茶なお話ですのよ?
さて、それを踏まえて、『アオハライド』です。
まあいいから1巻のドロケーのシーンを読め。読んでくれ。(KindleやLINEマンガで期間限定1巻無料です)
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主人公・双葉が、となりのクラスの田中くんとはじめてふたりきりになるシーン。
田中くんの後ろ姿をまじまじと見た双葉は、こう思います。
"腕 骨ばってる"
"あ えり足は くるんてしててかわいい"
もうね、この時点で、読み手の気持ちは主人公とシンクロですよ。
えり足がくるんてしててかわいいよ!田中くんかわいいよ!!!(*´Д`)ハァハァ
ってなりますよね?ね?
そんでもって、双葉と田中くんはケーサツ側に捕まり、ローヤに入ってまたふたりきりになるも、田中くんは沈黙。双葉は、ふたたび思います。
"えり足の形が"
"やっぱりかわいい"
っかーーーーー!(岡田あーみん調で発音)
うんうん!!やっぱりえり足かわいいよ!田中くんかわいいよ!!!(*´Д`)ハァハァ
そして極めつけが、コレ。※すいません、この1ページだけ引用させてください。
青春てのは!
青春ってーのは、
こういうことだよちきしょう!!!!!
オタ友と喧嘩して友だちが一気にいなくなったり、その反動でうっかり運動部に入って同級生にも先輩にもいじめられたりすんのは青春じゃねえんだようおうおう(号泣)
そりゃーもう、10巻まで一気読みしますわー。一晩で読んじゃうわー。
こんな青春を追体験できるなら漫画代も睡眠時間も惜しくないよ。
特に、わたしのような可哀想な青春時代を過ごした人間や、漫画・アニメにおいてキャラよりもシチュエーションに萌えるタイプの人間には、これらのかゆいところに手が届くような描写の数々が、辛抱たまらないです。
咲坂伊緒という漫画家をこれまで知らずに生きてきて恥ずかしい、というレベル。
もちろん『アオハライド』を一気読みした後、『ストロボ・エッジ』も一気読みして9巻ラストで号泣しました。
まあこの話は、次の機会に。
ほいたら、バイぜ!
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